木製クラリネットがおすすめ

やっぱりクラリネットは木製がおすすめ

▼クラリネットの価格相場

古楽器は主にツゲで作られていたクラリネット。現在の主な素材はグラナディラ(木の種類)となります。この素材でつくるクラリネットはある程度の価格でしか製造できません。これより安く提供できるものとして別の素材である樹脂製の存在がありますがやはり音には差があります。クラリネットはソロ的な役割でも用いられることも多く、クラリネット選びにおいて音色は重要な要素となります。他の楽器ではクラリネットほどの大きな素材の違いはありませんので、あまりピンと来ないかもしれませんが、予算を10万ほどと考えておられる初心者にとっては素材を一番最初に決めても良いくらいある意味重要かもしれません。素材と品質共に安定したものを求めるのであればクラリネットの価格相場は10万くらいになると思います。

▼木材のおはなし

●乾燥
楽器に使用される木材はシーズニングを行ったしっかりと乾燥させた木材が使用されています。木材は季節によって伸縮を繰り返す自然のものですので、これをしっかりしないと後々楽器が割れてしまったりなどの可能性がでてきてしまいます。期間は数年、十数年行う場合があります。実際のところは分かりませんが、大量生産をしているブランドや個体においては乾燥をそんなに待ってはられませんのでこの自然乾燥を強制的に行う場合があります。もちろん自然乾燥の方がバランスよくしっかり乾燥させることが分かりますね。大きな製造会社はその木材をしっかりと長年分確保しているなどと言われています。規模的に考えますとクランポン、ジュピター、ヤマハなどが多く木材を持っていそうではありますが、クランポン、ヤマハなどは材の量も多いですがきっと出荷量も多いことでしょう。実はあまり知られていませんが、ジュピターは世界的に見ればかなり多くの楽器を製造しています。

●品質
同じ木材でも品質が違うとされているグラナディラ。木は成長すると段々太くなりますが、外側と内側だと内側の方が密度が高く良い木材とされています。密度が高い木材は重みもあり鳴りが良くなります。「高級グラナディラ」とか言われているのは要はより内側の良い部分だということになりますね。ヤマハやクランポンはかなり多くのクラリネットの種類があります。分かりやすく考えますと、1本の木材があり、ラインナップの中でそのグレードごとで外側から内側にランクアップして木材を使用していったとします。ラインナップが多いメーカーであればかなり細かく木材のグレードが分かれるといったこともあるかもしれません。ここでまたジュピターを登場させますが、ジュピターはメーカーとしては大きく、木材も多く保持しているメーカーということもききますが、クラリネットのラインナップは非常に少ないです。しかも高級機種とされるものもございません。使用される木材の品質はメーカーが違えば違うのでとあるブランドが「高級グラナディラ」としている木材の品質が他ブランドでは「高級」かどうかは分かりませんよね。クラリネットのラインナップが少ないブランドは良い木材を持っている可能性が少しあると思いませんか。ただ昔の方が木材の品質は良かったというような声もあります。今ではグラナディラは貴重な木材でもあります。昔なら良い木材を沢山ある木材から選び出すことができましたが歴史の中で人々が多くの木を伐採し数が減ってしまったことも１つの影響にあると思います。

●見た目
グラナディラの木材は元々黒い木材ですが、より黒いものが良いとされています。よって以下にあげた価格帯のクラリネットの多くは染色されたものがあり本来の木材の黒さは判断が難しいと思います。染色されているかどうかは表面の具合やお手入れした際にスワブが黒くなったり、タンポが徐々に黒くなっていったりすることでも判断できるかもしれません。高級機種が茶色っぽく見えるのは染色されていない証拠でもあると言えます。また密度がある良い木材には木目というか節みたいなものが少ない傾向にあります。ただ何本も並べたり、また経験者が木部を見た場合には分かるかもしれませんが、初心者には判断は難しいと思われます。


▼樹脂製と木製の音質の比較

・樹脂製...音が平べったく、深みのない音。高音などは特に潰れたような音質が目立つ。音量は出るため周囲が木製のクラリネットを使用している場合などにおいては馴染みにくく、悪目立ちする感じ。
・木製...ポーっと丸みのある柔らかい音色。音に深みがあり、重厚感がある。樹脂製は高音になるにつれて潰れたような音質になりやすいが、木製は低音から高音まで均一な音質を得ることができる。

▼木製クラリネットのデメリット

・吹奏感が湿度や気温に影響される
・木部においては湿度や気温によって状態変化がある。(割れなど)

▼低価格帯の木製クラリネットのラインナップ

※2021年現在の情報です。5万円以下の木製は楽器流通の市場ではほぼありません。また、ヤマハの一番安いクラリネットYCL-255は樹脂製(プラスチック)になります。

・ZEFF ( ゼフ )　ZCL-65 ...5〜6万ほど
・MAXTONE ( マックストーン )　CL-50 ...廃盤
・J Michael ( Jマイケル )　CL-750 ...廃盤
・YAMAHA ( ヤマハ )　YCL-255 ※比較としてあげていますが、こちらは樹脂製です。...9〜10万ほど
・Brasspire Unicorn ( ブラスパイア ユニコーン )　BPCL-950...11〜12万ほど
・buffet-crampon ( ビュッフェ クランポン )　E11 ...12〜13万ほど
・JUPITER ( ジュピター )　JCL-750S ...13〜14万ほど
・YAMAHA ( ヤマハ )　YCL-450 ...15〜16万ほど
・buffet-crampon ( ビュッフェ クランポン )　E12 France ...16〜18万ほど
・JUPITER ( ジュピター )　JCL1100S ...18〜19万ほど
・Leblanc ( ルブラン ) Serenade...10〜20万
・YAMAHA ( ヤマハ )　YCL-650 ...21〜22万ほど
・buffet-crampon ( ビュッフェ クランポン )　E13 ...26〜28万ほど
・YAMAHA ( ヤマハ )　カスタムクラリネット　26万〜

▼割れについて

木製クラリネットにおいて木部の割れについては100%無いとは言い切れません。自然のものですので個体差、また使用及び保管環境、お手入れの状態で左右されます。そういわれると不安に思うかもしれませんが、簡単に割れが発生するようなものでもありませんし、割れても修理が可能ですのでご安心下さい。逆に樹脂製(プラスチック)のものは気候の変化は受けにくいですが仮に管体が破損した場合、修理ができない可能性があると思います。ともかくは楽器を炎天下の車の中に放置したり、暑いところから急に冷房の部屋に入れたり、演奏後に冬場の乾燥した部屋に長時間置いたりなど急な環境の変化、季節の湿度などで割れてしまうことがありますので注意しましょう。湿度調整材をケースの中に一緒に入れたりなどしておくと尚良いです。

▼メーカーの傾向

あくまで低価格帯の比較を主としています。(高価格帯は機種によってより個性的になるため。)
・ヤマハ...設計がしっかりしているので音程を重視しており、どの音でも大体音程は取りやすい。
・クランポン...ヤマハと比較すると音程より音色重視の傾向も見受けられ、表現力などに力を入れたい場合はこちらが使われることが多い。
・ジュピター...木材の良さが売り。音色の好みはあるものの音域によってムラがない傾向で一定の音色で低音から高音まで演奏できる。ピッチの安定度も高くクセがない。ただし上級機種というラインナップがない。
・ルブラン...10年以上熟成させた良質な木材を使用。海外製にしては仕上げは比較的きれい。音を鳴らしやすい。初心者に吹きやすいが木製の音を求める人におすすめ。
 

▼個体別比較

・ヤマハ YCL-255...木製ではないので、重量は軽い、音が平べったく深みのない音。音量は大きいので周りと吹くときに馴染みにくい。
・ヤマハ YCL-450...YCL-255に比べて深みがあり、重厚感がある。レジスターキィを押したときの音は若干ひらけている。(潰れたような音傾向)全体的に音程が安定している(チューナーの針の振れ幅が安定している)
・クランポン E11...クランポンでもドイツ製。ヤマハYCL-450に比べて、音色はよりクラリネットらしい音色。(クラリネットといわれて想像する音に一番近い状態)レジスターを押しても中低音との音色の差はない。
・ルブラン セレナーデ…木製らしい柔らかい音。またパッドの材質によって明るい音が出る。抵抗感が少なく軽く吹きやすい。音程も癖が無く、ほぼ安定している。
・クランポン E12 France...こちらもE11と同じくドイツ製。木材のグレードがE11より良い。
・YCL-650 ...高級グラナディラ使用により音色はより豊かに。ほどよい抵抗感を持ち、経験者にも吹き応えがあるのでより幅広い演奏表現が可能
・クランポン E13...フランス製のクランポンの一番安いモデル。クランポンらしい音色でこれはドイツ製クランポンとはひと味違います。上級機種と同じく上下管それぞれが1本の木から削り出されており、スチューデントモデルの代表格として世界中で支持されるモデル。