ドラム音源の重要性
自宅での音楽制作において最も必要とされる音源、それは「ドラム音源」。
リアルなドラムレコーディングに比べて、スタジオ確保にかかる多大なコスト、機材収集によるコスト、そしてレコーディングテクニック面での不安、という3つの問題をクリアにする最も効率的な方法がドラム音源を用いる事だからです。
特に世界的に敷地面積の需要が高い日本においてはドラム音源の需要は大きい方であるようです。
その反面、求められる事が「生ドラムに負けない"サウンド"」。
どれほどダイナミックな、もしくは繊細なギターやボーカルを収めたトラックであっても露骨な打ち込みドラムでは楽曲が台無しとなってしまうからです。
バンドサウンドにおいての「曲を作る」という行為は、ある意味ドラムのサウンドが鍵を握っているとも言えなくも無い程です。
既にDAWでの楽曲制作を行っているであれば、ドラムサウンドが変わるだけで「こんなにもリアリティが変わるのか。」と驚かれた記憶があるのではないでしょうか。
多くのシェアを集める現在のドラム音源と新たなニーズ
そんな「サウンド」において世間の大多数を初めて納得させたドラム音源が 「BFD」 です。
優れたリアリティとエディット力を持っており、最も人気のドラム音源である事は間違いありません。
後発の 「Addictive Drums」 はBFDに比べエディット力が控えめではありますが、断然に即戦力なサウンドを備えており、加えて手ごろな拡張音源のラインナップも「打ち込み」が苦手なDAWユーザに支持されているポイントです。
音質面では上記2製品と比較すると引けを取ってはいますが、手ごろな価格で簡単であるという点で「dfh EZ DRUMMER」もDAW入門者の必需品ともなっています。
しかし、現在これらのドラム音源を導入したにも関わらず、BFDの異常な程の重さとエディットの複雑さ、AddictiveDrumsの単調さに嫌気が差してしまったという声が大きくなっているのも現状です。
さらに、世間一般が利用するという事は「世間一般の音」がBFD化、Addictive Drums化するという事に繋がり、より優れたサウンドや特徴的なサウンドが求められる事にも繋がっています。
BFDもAddictive Drumsも拡張音源をリリースする事で、これらのニーズに応えようとしています。しかし逆に言えば「拡張音源が無ければ、ユニークさも音質も求められない」という段階に入っている事を示していると言えますね。
Epik Drumsが必要な理由
こんな状況で登場した新鋭ドラム音源が、今回取り上げる「 EpiK DrumS 」です。
BFD以降、「より手軽で高音質を」と求められてきたと言えるドラム音源市場に、決定的とも言える理論と実力者を迎えて制作された本ドラム音源。
どこがどう、その他ドラム音源と違うのかという点についてクローズアップしてみたいと思います。
1. ▽ 演奏者が引き出す最高のサウンドが収録。▽
そもそもリアルなドラムではストローク一つで音質が左右される「楽器」です。
ギターやベースで良く言われる「安価なギターでも上手い人が弾くと良く聞こえる」という現象は、厳密にはピッキングニュアンスやフィンガリングが原因だと言われています。実際にピッキングを改良するとサウンドが変わる事はある程度のギター演奏者の方なら周知の事ですし、そんな事を意識しても「あのアーティストのように鳴らない」という現象も起こるほどミュージシャンシップに訴えかける話も良く聞く話ですね。
このようにドラムでも「叩く人」によってサウンドは大きく影響を受け、卓越した演奏者であれば、真似出来ないような洗練されたサウンドを奏でるという事はドラマーの間では周知の事であるワケです。
そんな「楽器」としてのドラムという側面を考慮すると、ソフトウェアドラムでも「誰が叩いているのか」という事は非常に重要なポイントであるというわけです。
EpiK DrumS が新鋭ドラム音源である、という事も最も示している点はこの点で、本物の有名ドラマーが叩いた音が収録されています。
誰でも狙えば鳴らす事が出来る「ベストストローク」以上に "どうしてもこの音が出せない!"というミュージシャンシップ満載のサウンドを、仮に「ミラクルストローク」と名付けるとすれば(笑)、正に EpiK DrumS の音源は「ミラクルストローク」の宝庫であるワケです。この点は、その他ドラム音源では持ち得ない能力ですね。
尚、参加ドラマー、及びサウンドニュアンスは下記の通り。
テリー・ボジオ:
様々なジャンルを股にかけ活動する超有名ドラマー。あらゆるジャンルでユニークさを輝かせながら利用する事が出来るでしょう。最も有名な仕事はフランク・ザッパのドラマーとして活躍した事ですが、ジェフ・ベック、スティーブ・ヴァイ、KORNのレコーディングに参加するなど多方面で活躍するドラマーです。存在感のあるダイナミックなサウンドで音処理も近代的に仕上げられていますので、パワフルなドラムにバッチリです。
ビリー・コブハム:
ギタリストとして世界的な信奉者も多いジョン・マクラフリンのマハヴィシュヌ・オーケストラのドラムスとして有名な名ドラマー。エレクトリックマイルス期の代表作の一つ「ビッチェズブリュー」での活躍など、ジャズ/フュージョン界の超大物ドラマーです。ジャズやファンクなどのアプローチには抜群にオススメです。
ウッディ・ウッドマンゼイ:
『ハンキー・ドリー』や『ジギー・スターダスト』を生み出したグラムロック期のデビッド・ボウイのドラムスとして有名なドラマー。奇抜な見た目とは裏腹に素晴らしいグルーブを持っているこの頃の音楽を支えていたのは実はこのドラマーだという意見は結構多いですよね。そんな主張しすぎず、でも一音一音が説得力のあるロックサウンドを求めるとき非常に重宝します。
ボブ・シーベンバーグ:
『ブレックファスト・イン・アメリカ』で有名なSupertrampのドラムスを担当する名ドラマー。70年代を感じさせる味のあるサウンドで仕上げられており、目立ちすぎず、でも色気のある楽曲に最適なサウンド。ナチュラルな楽器構成の際には非常にマッチングするでしょう。
ロッド・モーゲンスタイン :
メーカー紹介ではディキシー・ドレッグスのドラマーとして紹介されていますが、「Winger」のドラマーでもあるという事をお忘れ無く。サウンドの仕上がりは彼の経歴通りプログレッシブロックな風合いを持ちながら、所謂80s後半のハードロック的趣向にもマッチングするサウンドです。エアー感のあるドラムですので、ロックバラード系にも非常に適していますね。
2. ▽ プロが揃えたドラムセットが、最良の状態で収録。▽
楽器そのものの状態も、サウンドを大きく左右するポイントです。当たり前の話ですが、楽器は全てしっかりとチューニングされている必要があります。打楽器であるドラムも例外なくチューニングというものが存在し、しかもこれにより鳴りや音質が変わってくるので非常に重要なポイントです。
ピアノにはピアノ調律師が必要とされている様に単に音程を揃えるだけではダメで、熟練した者が手を加える事もあるのが、ドラムチューニングの世界です。
チューニングが"されている"と、"されていない"では、ワンランク下のモデルの方が音が良いなんて事さえ起こってしまうからです。
それほどドラムにとってのチューニングは重要だと言う事です。
この点、 EpiK DrumS では「ドラム・ドクター」という異名を持つロス・ガーフィールド氏が全てのドラムセットのチューニングを担当しています。ロス・ガーフィールド氏はレッドホット・チリペッパーズ、フー・ファイターズ、メタリカ、ブルース・スプリングスティーン、ロッド・スチュアートなど誰もが知る有名アーティスト達でのドラムチューニングを担当している人物であり、この業界では非常に良く知られた存在です。
またドラム・キットそのものも厳選されたモデルが使われています。
「 EpiK DrumS 」を作るにあたり、上述したドラマー達それぞれが参加した「名盤」と呼ばれるレコードを生み出したときと同じキットが用意されました。
同じ名前がつけられた機材でも、経年変化により善し悪しが出てくる「生もの」である楽器。そういう観点でも判断ができるプロフェッショナルなエンジニアが厳選した最高のドラムキットが使われているので、正に EpiK DrumS は完璧なドラムス環境が整えられているというわけです。
3. ▽ 最高のエンジニアとプログラマー集団が集結。▽
「ドラム音源」というものは平たく言えば「サンプリング素材を用いた、再生ソフトウェア」という位置づけになりますから、最高のドラム音源を作り上げるなら「最高の素材」と「最高のプログラミング」が必要となります。
最高の素材にはその道に長けた最高のエンジニア、ドラマー、機材が必要です。その素材を最高の形でソフトウェアにするには世界屈指のプログラミング技術とドラム音源ソフトウェアへの理解が必要です。
そのことを前提にした上でプロデュースされ生み出されたドラム音源こそが「 EpiK DrumS 」です。
エンジニアは大御所エンジニアとして世界中に名を馳せる「ケン・スコット」氏です。
彼は1960年代にアビイ・ロード・スタジオでキャリアをスタートさせ、ビートルズの「I Am The Walrus」、デヴィッド・ボウイの「Ziggy Stardust」、ルー・リードの「Walk On The Wild Side」など、後に数えきれない数の名盤を生み出してきたエンジニアです。世間で際立って有名となったのはデヴィッド・ボウイの「Ziggy Stardust」での事ですが、ビートルズのレコーディングに関わっていた頃では、例えば「Hey Jude」のレコーディング時のトラブルの際に活躍した事など、かのジョージマーティンなど一度は名前を聞いた事があるような大物がいる中でメキメキと頭角を現してゆくエピソードがあり、疑わしい疑念を抱かせない非常に優れた "確かな" エンジニアである事が伺えるエピソードを持つ大御所エンジニアです。
プログラミングには世界的に「音が優れた」ソフトウェアを開発してきた事で信頼厚いSonicReality社です。
SonicReality社には「OceanWay Drums」という "唯一、BFDを超えるドラム音源" として名高い評価を起こしたドラム音源があります。
そんな今また "BFDを超えるドラム音源" としてリリースされたのが本作「 EpiK DrumS 」です。
ケン・スコット氏が手がけてきたドラマーの中でも特に信頼を置いている5人のドラマーを呼び、最高の機材を用意し、最良のエンジニアリングを施し、アーカイブする。
そのサウンドデータをSonicReality社が一つの「ドラム音源」として仕上げる。
こういったトータルプロデュースの元に生み出されたのがこの「 EpiK DrumS 」というわけです。
「ドラム音源」が最高の形で完成されるには、どのようなプロセスが必要であるかを最先端のノウハウだけでなく「エンジニア」の視点からも研究し、開発開始以前から明確にし、その上で生み出されたドラム音源は今のところ、この「 EpiK DrumS 」だけです。
BFDのドラマーは誰であるか明確には記されていません。
BFDのエンジニアも明確に記されてはいません。
しかし、「 EpiK DrumS 」ほどのドラマーやエンジニアが用意されていない事は明確です。
それは、この「サウンド」が全てを物語っているからです。
4. ▽ EpiK DrumS の 搭載サウンドリスト。▽
Drum Kits (86 GB)
Bill Cobham – 10 GB, 17,240 samples
Kick 1、Kick 2、Snares: Dampened, undampened, Pink Beefy、Hat、Toms 1-7、Crashes: 1, 2, AA Thin, HHX Stage、China、
Bob Siebenberg – 10.5 GB, 22,072 samples
Kick、Snares: Main, Ludwig Deep, Modern Gretsch, Gretsch Round Badge、Hat、2 Timbales、Toms 1-4、Ride、Crashes: 17” & 20”、China、Splash
Rod Morgenstein – 15.5 GB, 30,074 samples
Kick、Snares: WFL, RG、Hat、Toms 1-5、Ride、 3 Crashes、 China、 Splash、 Cowbell
Terry Bozzio – 16.5 GB, 25,633 samples
Kick、 Snare、 Hat 1、 Hat 2、 Roto Toms 1-7、 Cymbals: Crash-Ride, Black Bell, China L, China R, Crash, B China under HH
Woody Woodmansey – 22 GB, 47,882 samples
Kick、 Snare、 Hat、 Toms 1-4、 Ride、 2 Crashes
60s Downbeat Kit – 5 GB, 9,663 samples
Kick、 Snare、 Hat、 Tom 1-2、 Ride、 Crash
70s EJ Kit – 6.5 GB, 16,468 samples
Kick、 Snare、 Hat、 Tom 1-7、 Ride、 Crash L、 Crash R
Percussion (5 GB)
Emblem Percussion – 5 GB, 6,927 samples
EP - temple blocks、 EP - tamborine 1、 EP - Kids Tamborine、 EP - Tamborine 2、 EP - Ludwig cowbell、 EP - Flat cowbell、 EP - Agogo Bells、 EP - Cowbell hide in your shell、 EP - Clave、 EP - LP woodblock、 EP - Frog、 EP - Can chaker、 EP - Sleigh bells、 EP - ryhthm tech alum shaker、 EP - Guiro、 EP - Spoon、 EP - Mute triangle、 EP - random shaker、 EP - Cabasa、 EP - tubular woodblocks、 EP - cow toenail shaker、 EP - triangle、 EP - little fish、 EP - random shaker 2、 EP - classic sleigh bell、 EP - Rainstick、 EP - random shaker 3、 EP - Clave 2、 EP - Clave 3、 EP - beaded large drum、 EP - trashy cymbal、 EP - triangle 2、 EP - Chimes、 EP - Congas、 EP - Maracas、 EP - Windchimes、 EP Xylophone (dreamer)、 EP - Toy xylophone、 EP - Marching bells、 Ken Scott Wine Glasses、 Ken Scott hand claps、 Ken Scott finger snaps
Groove List - Multitrack Grooves (26 GB)
Bill Cobham (797 loops, 5.75GB):
BC Thistle (51 grooves, 18 fills)、 BC The Lilly (38 grooves, 10 fills)、 BC Striding Pitches (25 grooves)、 BC Side Draft (45 grooves, 19 fills)、 BC Rogue Lord (49 grooves, 16 fills)、 BC Prioress Andre (52 grooves)、 BC Outcome (4 grooves)、 BC Meters Hence (66 grooves, 7 fills, 20 solo patterns)、 BC Kaleidoscope (12 grooves)、 BC Hideaway (43 grooves)、 BC Heavenly Earthbound Travelers 2 (26 grooves)、 BC Heavenly Earthbound Travelers (21 grooves)、 BC Fowl Aflame (no crash) (7 grooves)、 BC Fowl Aflame (30 grooves)、 BC Existence is Monopoly (60 grooves)、 BC Clouds (39 grooves)、 BC Agape Nation (56 grooves)、 BC A Single Utterance 2 (73 grooves)、 BC A Single Utterance (10 grooves)
Bob Siebenberg (638 loops, 3.5GB):
BS An Aim (25 grooves)、 BS Dame (33 grooves)、 BS Destitute Lad (10 grooves)、 BS Dont Overdo It (15 grooves)、 BS Fantasizer (17 grooves)、 BS Felony of The Decade (106 grooves)、 BS Frigging To True (63 grooves)、 BS Im All Alone (43 grooves)、 BS Kindergarten (73 grooves, 17 fills)、 BS Lectern Aria (14 grooves)、 BS Nut House (54 grooves)、 BS Obscure With That Husk (68 grooves)、 BS Prioress Hooch (26 grooves)、 BS Someone Elses Girl (3 grooves)、 BS The Masses Are Deaf (43 grooves)、 BS Valentino (28 grooves)
Rod Morgenstein (1062 loops, 8.3GB):
RM Adventure (278 grooves)、 RM Frozen Pastries (100 grooves)、 RM Just Suppose (66 grooves)、 RM Outstretched Lazy Expanse & Jam (331 grooves)、 RM Remove from the Peak (58 grooves)、 RM Rural Home Drag & Jam (229 grooves)
Terry Bozzio (582 loops, 4.6GB):
TB Apertures (45 grooves)、 TB Conspicuous Person (19 grooves)、 TB Deranged (32 grooves)、 TB Exit Blocked (13 grooves)、 TB Get Your Nose Out (28 grooves)、 TB Landing Place is a Mystery (24 grooves)、 TB Me Enjoy Males (28 grooves, 8 tom fills)、 TB Me Enjoy Males Fast Jam (56 grooves)、 TB Me Enjoy Males Slow Jam (26 grooves)、 TB Rough Roads (70 grooves)、 TB Sorrow (49 grooves)、 TB Strolling Through Hollywood (32 grooves)、 TB Talk (18 grooves)、 TB This Place At Present (36 grooves)
Woody Woodmansey (789 loops, 3.8GB):
WW Bob Ice (51 grooves)、 WW Celebrity (63 grooves)、 WW Damaged Thespian (9 grooves)、 WW Duration (14 grooves)、 WW Existence Upon Pluto (24 grooves)、 WW Fright Through Michigan (8 grooves)、 WW Grab the Jewels (31 grooves)、 WW King Bastard (48 grooves)、 WW Lord Smiling Spirit (18 grooves)、 WW Lord Snow (7 grooves)、 WW Lunar Nightmare (45 grooves)、 WW Modifications (49 grooves)、 WW Motor Out Monday (26 grooves)、 WW NOW Town (33 grooves)、 WW Oh We Attractive Objects (15 grooves)、 WW Ogle This Chap (24 grooves)、 WW Paparazzo (34 grooves)、 WW Paparazzo Jam (13 grooves)、 WW Rim Jam (101 grooves)、 WW Robert Thomas (26 grooves)、 WW Sixty Months (15 grooves)、 WW Spirit Lust (51 grooves)、 WW Stay for Breakfast (36 grooves)、 WW The Dazzling Constellation (6 grooves)、 WW Wackos (17 grooves)、 WW Widow Twankey’s Madness (25 grooves)
Stereo Grooves (9 GB)
Bill Cobham (1.97GB)、 Bob Siebenberg (1.34GB)、 Rod Morgenstein (3.22GB)、 Terry Bozzio (1.85GB)、 Woody Woodmansey (789MB)
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